F.I.R.E 投資家の投資日記

48歳で企業経営を引退、投資歴20年以上、専業投資家として歩み始めた投資日記

「なぜ、そうしなかったのか?」を検証する②環境の力には勝てない

飲食業の世界に足を踏み入れて30年、この世界の厳しさを十二分に感じてきた。

それを含めて、飲食店経営者としての哲学がある。

 

・利益率の低い(10~15%)飲食店経営では、バックヤード(本社家賃、人件費)はとにかく軽くしておかなければならない。

・戦後70年間、飲食企業(特に居酒屋業)で天下をとった企業は皆無。栄枯盛衰の激しい業種、家賃が異常に高い東京で後発企業が、飲食店経営を長くやり続けられるとは到底思えない。

 

「運」とは、その人と成りが引き寄せるもの。状況的に恐らく8割方の人が東京移住を決断したであろうが、特に慎重派の私は思いとどまった。

人がうらやむもの、派手なもの、かっこいいもの、それらに対しては、斜に構えて見るクセが付いている。(単にへそ曲がりなだけです)

 

「契約満了ですよね?色々とお世話になりました。ありがとうございました。」定時の家主企業との打合せの際、私の方から切り出すと、想像もしていなかったのだろう、担当課長はビックリした顔をしておられた。

(何かにつけ、平気で呼び出し、上から目線で対応する家主企業に対して、常日頃から気に入らなかったのは確かである)

 

翌年(2017年7月)、惜しまれつつ新宿店閉鎖。(東京撤退)

 

2020年3月、新型コロナウィルスによる、需要の蒸発→大不況期に突入。

仮に新宿店舗が残っていて、いくら家賃を相場よりも安くしてもらっているといっても、営業自粛で売上ゼロならば、月額賃料4200千円はさすがに払えない。

もし2016年に東京へ移住していたら、新宿店は契約期限切れだったとしても、何らかの形で首都圏で出店を続けていただろう。

すると今頃は、正に地獄を見ていたのかもしれない。

 

結果論にはなるが、あの選択は本当に正しかったと言える。

新型コロナウィルスを予測した人など、この地球上に1人もいなかったとしても、右肩上がりの好景気は、いつか調整期(リセッション)を迎える日が来る。

パンデミックは単に、調整の為の「理由付け」と見ることもできる。

 欲をかき過ぎない、何事もほどほどに・・・(=中庸)というのは、人生哲学では最高の教訓ではあるが・・・それよりも、数年先の(経済)環境を予測する、景気循環の波を考える。それらの方が余程重要であると改めて思う。

私達は自分の力で稼いでいるように思っているが、我々小動物は、しょせん環境の力に勝つことなどできないのだ。