心から信じられるフィクションを見つけられるのか
「我々の祖先は食物連鎖の真ん中に位置し、ライオンに怯え、ハイエナの食べ残しの死肉の骨の中の骨髄をすすりながら生きていた人類には様々な種がいて、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの種族が生き残っていた。
ネアンデルタール人は、リンゴ等の眼に見えるものしか言葉で伝えることができず、遺伝子の突然変異で生まれたホモ・サピエンスは現実には存在していないものについて語ることができるようになった。そして集団で1つのフィクション(虚構)を信じ込むことができ、大勢で柔軟に協力するという能力を身に着けた結果、ネアンデルタール人を絶滅させ、人類種として唯一生き残った。これが7万年前の認知革命である。
その後の人類は、宗教・通貨・近代国家・法律・会社・人権・自由・正義という、想像の中にのみ存在するフィクションを生み出し、虚構を皆で信じることから協力や集団の維持を可能として、社会を発展させてきた。
人類の創った最強のフィクションは「マネー」である。それは多くの他人が信じているものだからこそ、私たちはそれを信頼するという特別な存在である。」
出典;「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ著
「人が必要で貴重と考えるもの(=水、食物、お金、資源、時間、場所、喜び、愛)は十分に存在しない。欠乏は脳の奥深くに刻みこまれた恐怖」
出典;「世界のエリート投資家は何を見て動くのか」アンソニー・ロビンズ著
「金で幸福を買えないが、金で不幸は追い払うことはできる」映画「サイコ」より
古今東西、お金に関するトラブルや事件・事故はあまりにも多い。また、失業率が1%上がると、自殺率(人口10万人当たり自殺者数)は1.94上がるそうなので、人口1億2000万人として年間自殺者は約2300人増加する。
そう、人類が発明したフィクションであるお金は、人の生き死ににも大きく影響を及ぼしている。
私は幸運にも「欠乏」の恐怖から、早々に解放されることができた。
創業した会社経営を他人に委ね、アーリーリタイアメントしたのも、私の人生に残された「時間」の有限性に気付いたからだ。
自由な時間は、お金以上に貴重なもの。
残された時間の中で、私は心から信じられるフィクションを見つけることができるのか?
これが私の後半生の最大のテーマである。
これからそれを探すにあたり、ここにその記録を残しておきたいと考えた次第である。