F.I.R.E 投資家の投資日記

48歳で企業経営を引退、投資歴20年以上、専業投資家として歩み始めた投資日記

「株式投資を始めたい」という相談への回答メール

サラリーマン時代の後輩から「株式投資を始めたい・・・」それについてのアドバイスを頂けないか?という相談があり、それに対してメールで以下のように回答した。
 
「お金から自由になる為には、本気になってお金と対峙しないといけない。『生活収支の計算』・『お金の勉強』から逃げていると、『お金の呪縛』から永遠に逃げられず、勇気を持って行動を起こしたり、日々挑戦することができなくなる」・・・だそうです。
 
拝見しました。
資本主義社会に生きていて、なおかつビジネスマンとして、「投資」の何たるかを知らずに生きていくのは、点棒の数え方を知らずに麻雀をするようなもの。
そもそも「お金とは何か?」の勉強は、ビジネスマンの必須ですが、銀行マンを含めて、それをやっている人は意外と少ないようです。
 
我々はP/Lの読み方は習いますが、投資・金融で大事なのは圧倒的にB/S。
B/Sの読めない社長で企業経営の上手い人は一人も見た事がありません。
だから企業のB/Sをスラスラ読めると、投資が確実に上手くなるし、また交渉時にも先方の本音が読み解けて交渉にも活かせます。(私は上場企業相手に交渉をする時は先方のB/Sを分析してから交渉に臨んでました。すると相手は現金に困っているとか、色々と本音が見えるから交渉も楽に進められます
 
まず大事なのは、投資期間を何年間とするのか?引退して収入が無くなるまでの期間、もしくは子供達の学費がかからなくなるまでの期間など。
そして築いた資産を何歳から何%で取り崩していくのか?つまり人生計画=資産計画ということです。
また、私は現役時から本多静六氏を師と仰いできましたので、「1/4貯蓄法」を実践してきたお陰で、質素倹約が身に付きました。
それで投資の種銭をコツコツと積立てながらやっていました。つまり生活そのものも変わるのです。
(出会った投資家は皆、質素な生活をしている方がほとんどです)
 
投資とは、ほとんどの場合「何もしない」のが良いです。
但し「準備」にかける時間が、私を含め皆さん膨大です。経済学、金融学、地政学・・・とにかく研究と勉強の手を緩められない。
 
本題です・・・
グロース(無配当)を好むかバリュー(高配当)を好むかによって、その比率をどうするか?
これは性格や投資期間(=年齢)にもよるし、資産ボリュームによっても異なります。
当たり前ですが、大事なのは戦略です。私の場合、大体2:8くらいにしてます。
バリューの基本は再投資で『複利』の恩恵を最大限に得るというもの。
ご存知の通り、「72割の法則」で利回り6%だと12年で2倍、4%だと18年で2倍になります。
 
基本は①時間の分散 ②銘柄の分散 そして③ストーリーの分散です。
株式投資とは半年先の姿が現実化していることなので、18か月先を読み解くことなのです。
日本のマーケットは小さすぎるし、人口減社会を考えると、とても投資できない。
やはりグローバル企業で成長市場の米国株が断然いい。(成長市場といっても新興国は絶対にNG)
だからETFを2~3年かけてゆっくり購入していくのがいいと思います。(それで①と②が達成)
毎月10万円ずつドル転して購入し、今冬の暴落時に30万~50万と厚めに購入するのがいいでしょう。
米国株で怖いのは、暴落よりも為替・・つまり、トランプが第2のプラザ合意を言い出して
ドルが暴落するリスク(超円高)です。
今回のコロナショックによって、2022年までは金利が上がらない事は確定しているので
2022年末まではデフレと株価上昇トレンド、2023年からインフレ→金利高騰→米国債下落
債券市場は株式市場よりもはるかに大きいので、株式市場も暴落というストーリーは読めます。
問題は膨大な米国の債務を、基軸通貨であるドルを発行する米国は唯一、第2のプラザ合意で帳消しにできるのです。つまり1ドル50円にされると、我々の資産も半減する。そのストーリーも見据えて投資に向かうべきでしょう。
2023年以降は、米国債暴落でそのストーリーも20%位はあるのではないかと想定しています。
 
ETFですが、高配当債券ETFならば、PFF←これは債券でも株式並みの値動きですが、
毎月配当が出て、私も相当持っています。利回りは5%以上ありますが金融危機に弱いです。
値動きがマイルドな債券系ならBNDだけど、超低金利=債券高で今は買うべきではないです。私は2月に全て売りました。
投資戦略として、基本はミーンリバージョン(中央への回帰)と思っているので、株式と債券のバランスをどうとるかが重要。
債券が上がった時は債券を売って株式バランスを上げ、株価が上がった時は株式バランスを下げて債券バランスを上げる。
但し、今は異常な状況だと思った方がいいでしょう。歴史的な債券高(低金利)の時期。
長期デフレの日本と違い、世界の基本はインフレなのです。
 
高配当株式ETFなら(かなり価格が戻りましたが)VYMならまだ利回り3%位あるのでは・・・
私は個別株をかなり持っているので、分散の意味で不動産を含んでいるSPYDを持っています。(値戻りが遅く、含み損は相当ありますが、気長に戻るのを待っています)
グロースならQQQかVGT、ナスダックが最高値だから割高ではありますが、そこをどう読むかですね。
私はVGTを3月に仕込んで(総資産の2%程度持っていますが)いずれにしても
ノイズ(目先の上がり下がり)に一喜一憂せず、自分のストーリーに沿うかどうかが重要です。
損切りする時は、下がった時ではなく、自分のストーリーに沿わない時です。
株式投資で難しいのは、買う時ではなく、圧倒的に売る時です。
 
ETFを買う時は、必ずどういったセクターが何%占めているのか、占有率上位銘柄は何かを
調べておくことです。(日本語のサイトが必ずあります)
私は投資ノートだけで2冊使っています。なぜそれを買ったのか?どういうストーリーを考えたのかを記す日々のノートと、もう1つは自分の中で投資哲学を確立させる為のノートです(←1000円位出して高級ノートを買っています・・・これこそ宝物です)
投資とは「自分自身の欲望に克つ、恐怖に克つ」というメンタルの部分の方が大きい。
だから自分の中でルールを作っておかないと絶対に損をする、そういうものです。
投資哲学ノートが一杯になった時、自然とルールはでき、投資脳も洗練されます。
 
株式投資は20年以上やってきて、中国株で100万円投資していた企業が上場廃止になって
大損した経験があります。(当然ですが、家内には言ってません)
でもそれはいい勉強代と割り切っています。
米国株では、今のところ利益の方が大きいですね。(利確した時は、美味しいものを食べに行くというわが家のルールがあります)
但し、未曾有の金融緩和(ジャブジャブのマネー)は、ドルの価値毀損という意味ですから
これからの数年間は、相当な山あり谷ありと覚悟した方がいいと思います。
 
ビジネスだって投資のリアルな1つの手法です。リスクが大きいから利回り(=ROA)が
15%以上はなくてはならない。そう考えて経営をしていると、会社がめちゃくちゃ儲かるようになりました。
投資脳にしていくとビジネスも変わるし、見える景色も変わると思います。
米国政府、FRBの政策(=FOMC、次は9月15日にあります)、金利、米国10年債利回り、原油価格、インフレ率、雇用統計・・・これらに対する感度が変わります。
頭の体操としてはとても面白いと思います。
 
長文になりましたが、これでも言いたいことの半分くらいです。
投資では儲けようと思わず、損をしないようにすること・・・そうすると、自然と資産は増えています。
Good luck!
 
言葉とは、例え同じ言語を使っていても、通じないことが多い・・・そういうものだ。
やや投資哲学や投資戦略(むしろそれの方が大事)について書き記したつもりで、自分でも「いいこと書くなぁ」と思ってはいたけれど、上記メールに返ってきた返信を見ると、「あぁ、半分も伝わっていない」ということを強く感じた。
「知っていること」と「熟知している」ことの差、戦略性や哲学を持っているか否かの差、そういったものが、「格差」の源泉となるのだろう。